来談者中心療法

 アメリカのロジャースが提唱した心理療法です。人には本来、自分自身をよく知り、自分の内にある見方や心構えを変えて成長していける資質がある、という考えのもと、ロジャースはそうした変化や成長をもたらす関係性に着目しました。

 そしてカウンセラーの基本的姿勢として、相手の気持ちに共感しながら話を聞くこと、批判や評価をせずに相手の思いをそのまま受けとめること、自分自身の考えや思いにも開かれた態度であり続けること、を挙げました。

 こうしたカウンセラーの姿勢が、相談者にとって「自分らしさ」や「自分の生き方」を肯定的に見つめ直す風土となり、そこで相談者は自分の思いを確かめながら、「わたしにとっての一歩」を見出していくことになります。

 ここでロジャースの挙げたカウンセラーの姿勢は、一見シンプルなことのようにも思われますが、(少なくても私にとっては)いざ実践してみると中々奥深くて、ときに難しくも感じられます。というのも、やはり人と人が向き合って対話をする訳ですから、ときには両者の間に気持ちのズレや矛盾も生じてきます。

 来談者中心療法では、カウンセラーは相談者の語りを傾聴することを基本としますが、互いの間で生まれる様々な思いや考え、あるいはイメージや身体感覚といったものをすくい上げて、今、ここでの対話に繋げていくことが肝心であると私は思っています。